ニューハーフでSかMかはっきりわかる

ニューハーフではSとMもまったく同じで、初めは漠とした差異でしかありませんでした。
十九世紀の後半まで、人々は、Sという概念もMという概念も持ち合わせていなかったのです。
その証拠にそれを表す言葉が存在していませんでした。
ところが、1886年に、ドイツの精神医学者が、まずマルキ・ド・サドの小説の中に加麿的な欲望が色濃く出ているのを発見し、これにサディスムという症例名を与えることにしました。

サディスムに対応する被虐的な欲望の持ち主の作家はいないのかと捜したところ、幸い(?)にも、オーストリアに『毛皮を着たヴィーナス』(種村季弘訳、河出文庫)という被虐趣味の小説を書いているザッヘル・マゾツホが見つかったので、この作家にちなんで(マゾヒスム)という用語を作ったとされているそうです。

Comments are closed.